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音声対話AI

音声アシスタントと電話の自動応答は、同じ4つの技術でできている

スマホの音声アシスタント、AIと音声会話できるアプリ、企業の電話の自動応答。呼び名は違っても、中身は音声認識・文章生成・音声合成・発話区間検出の同じリレーです。自社の業務で使えるかを判断する3つの問いと、残る苦手を書きました。

テーブルに並んだスマートスピーカーとタブレット端末
Photo: Andrey Matveev / Pexels

スマートフォンの音声アシスタントに話しかける。AIと音声会話できるアプリを試す。企業に電話をかけたらAIが応対する。別々の製品に見えるこの3つは、中身がほぼ同じです。音声を文字にする音声認識(聞く)、文字から答えを組み立てる文章生成(考える)、答えを声にする音声合成(話す)、声の切れ目を見分ける発話区間検出(VAD、間を計る役)。この4つを直列につないだリレーが、音声対話AIに共通する作りです[1]。

中身が同じなら、製品どうしを見比べても差は出にくいはずです。この記事の主張は1つ。音声対話AIを業務で使えるかどうかは、製品よりも、導入する場面で決まります。

同じ作りでも、大きな違いが1つあります。扱う用件の範囲です。

区分 扱う範囲
汎用版(音声アシスタント) 天気もニュースも音楽も、広く浅く スマートフォンやスマートスピーカー
目的特化版 自社の用件だけを深く 予約の受付、問い合わせ応対、点検記録

企業が作るのは目的特化版です。同じ「予約したい」という発話でも、汎用版は予約サイトの検索結果を返し、目的特化版は自社の空き枠を確認して予約まで完了させます。用件を絞るほど、その用件の言い回しや専門用語を音声認識に覚え込ませやすくなり、応対を最後まで完了できる率も上がります。

自社で使えるかは、3つの問いで決まる

製品比較の前に、置こうとしている場面を3つの問いで確かめます。

手や目がふさがる場面か。画面のない場面か。 運転中、調理中、点検作業中、そして画面のない電話。音声が選ばれるのは、こうした場面です。裏を返すと、手も目も画面も自由に使える場面では、音声が選ばれる理由がありません。効く場面と失敗する場面の線引きは 音声UIで画面を置き換えると、たいてい失敗する に書いています。

用件を絞れるか。 「点検結果の記録だけ」「予約の受付だけ」と限定できるなら、目的特化版の強みがそのまま出ます。何でも受ける窓口をいきなり作ろうとすると、天気にもニュースにも答える汎用アシスタントを自前で作るような難しさを背負い込みます。

聞き間違いが起きたときの被害を、設計で受け止められるか。 認識の誤りはなくなりません。聞き取った内容の確認、利用者による言い直し、人への引き継ぎを業務のフローに組み込めるか。送金のような取り返しのつかない操作を扱うなら、この誤りへの備えが設計の中心になります。

会話が自由になったのは、「考える」が入れ替わったから

少し前の音声操作は、「自宅に帰る」のような登録済みの言い方しか受けませんでした。いまのAIと自由に話せるのは、4つのうち「考える」(文章生成)が、命令の一覧表から大規模言語モデル(LLM)に入れ替わったからです。聞く技術と話す技術は、入れ替えの前後で同じものが使われています。何が変わって何が残ったのかは LLMが入れ替えたのは、音声対話の「考える」部分だけ に書いています。

苦手は3つ。聞き間違い、事実でない答え、噛み合わない間

技術が進んだいまも、音声対話AIには性質の違う3つの苦手が残ります。

  • 聞き間違い。騒がしい場所と専門用語で、音声認識の誤りが増えます。誤った文字はそのまま後段に渡ります
  • 事実でない答え(ハルシネーション)。LLMがもっともらしい誤りを作る性質は残っています。声で届くと、文字より誤りに気づきにくくなります
  • 噛み合わない間。沈黙の長さだけで話し終わりを判定する作りでは、発話がぶつかったり、不自然な待ちが生まれたりします

聞き間違いと返事の遅れは、直列のリレーという作りに根があります。前段の誤りは後段にそのまま渡り、段階を順に通るぶん返事も遅れます。この限界は研究でも指摘されています[1]。噛み合わない間に対しては、相手の声を聞きながら話せる対話の研究が進んでいます[2]。

間の問題の中身は AIとの通話はなぜ会話が噛み合わないのか に、電話窓口に導入した場合の構成の全体は ボイスボットの中身は、4つの技術のリレー に書いています。

3つの問いに答えが出たら、次は用件を洗い出し、聞き間違いへの対応を設計する段階です。TARVOでは、この場面と用件の切り分けの調査から、音声対話システムの開発までを受託で承っています。詳しくは AI受託開発 をご覧ください。

参考文献

  1. Recent Advances in Speech Language Models: A Survey
  2. From Turn-Taking to Synchronous Dialogue: A Survey of Full-Duplex Spoken Language Models
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